【重要】日本政府の景気判断で変化あり
日本政府は月例経済報告 - 内閣府を毎月公表しています。
説明しよう!月例経済報告とは
日本政府が毎月景気に関する政府の公式見解を示す報告書のこと。
出典:ウィキペディア
クラウドファンディングへの直接的な影響は小さいかもしれませんが、政府の景気判断をみることで、不動産の需給関係や価格形成全般に影響を与える最近の経済の動きを概観することができます。
2019年3月の景気判断では重要な変化がありました。
政府の景気判断の変遷
月例経済報告における基調判断の変遷は次のとおりです。
2017年1月~5月
「景気は、一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」
「一部に改善の遅れ」がみられ、また回復ではなく「回復基調(回復に向かっている)」としていることから、やや弱気な判断と受け取れます。
2017年6月~12月
「景気は、緩やかな回復基調が続いている」
「回復基調」としていることから、まだ景気回復にはいたっていません。
2018年1月~2019年2月
「景気は、緩やかに回復している」
2018年1月から「回復している」としてます。その後、景気回復局面が14カ月続きました。
2019年3月
「景気は、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」
「一部弱さがみられる」とありますので、やや景気が弱気化しています。
景気判断の変遷まとめ
- 2017年前半は「一部改善の遅れがみられる」とし、やや弱気化した見方
- 2017年後半は「回復基調(回復に向かっている)」なので横這い
- 2018年1月~2019年2月は「回復している」とし、強気化した見方
- 2019年3月は「輸出や生産の一部に弱さもみられる」とし、やや弱気化した見方
これまで2018年1月~2019年2月まで1年2カ月間も強気だった政府の景気判断が、2019年3月に入りやや弱気化したことが分かります。
今後の先行きについて
今後の先行きについて、政府の見解を引用しました。
先行きについては、当面、一部に弱さが残るものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。
出典:内閣府 月例経済報告(平成31年3月)
ちなみに、日銀の2%のインフレ目標は遥か彼方ですが、政府は「日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する」としています。
地政学的リスクについて思うこと
2016年6月の英国国民投票にて波乱のEU離脱となったわけですが、その後も米国大統領選挙のトランプ氏当選、北朝鮮問題など、政治的な波乱が続きました。
地政学的リスクはこれまで幾度となく繰り返してきましたが、今問題になっている中国、アメリカ経済、英国EU離脱案否決などに対して、市場は敏感に反応するのでしょうか。
市場は賢く合理的なので、既に織り込み済みといえるのか......すみません、僕にはさっぱり分かりません。
ただ、1つだけいえるとすれば「近年は幾度となく地政学的リスクが叫ばれる中、多くの人間は地政学的リスクにはもう飽きている」ということではないでしょうか。
政治的な不確実性を挙げればきりがありません。
地政学的リスクを認識・予想しておくことはもちろん重要ですが、その都度、本当に強く市場は反応するのか?
....近年を振り返ると、10年前のリーマンショック以降、強く反応していないため、疑問が残ります。
市場動向に”留意”しつつも、”振り回されない”バランス感覚が重要かと思います。